家紋は遠く平安の初期(800年頃)に公家が輿車や衣服に紋様をつけたことに始まるといわれ、家紋という形で使われるようになったのは鎌倉時代中頃からである。
主な目的は戦場での敵味方を見分けるためだったようだが、その後文化が進むにつれて急速に武家の間に流布して家紋の地位が確立され、その由来を調べればその家の歴史が解るといわれる程に重要なものになった。
その数実に五千を越えるといわれているが、それを発生形態で分類すると70~80程が基標となっているようである。
最近、生活の安定に従い忘れ去られた伝統と家に対する認識を求める傾向が次第に深まり、故郷の山河に対する情感もきわめて素直になった。
家のシンボルともいうべき千年にも及ぶ伝統に支えられてきた家紋こそ、祖先が後世に造形して伝えた偉大な遺産でもあり、世界に誇る独創性は洗練に洗練を加え格別の美しさにあふれているものである。
※この文面と前項は、西陣胡琴苑様の承諾下で掲載しています。