101．着付け小物の名称と役割

きものを着るときには、まず、肌に直接触れる肌着はだぎや裾除すそよけをつけ、その上に下着である長襦袢ながじゅばんを着ます。そして、長襦袢の上に長着ながぎ（振袖、訪問着、小紋、紬など）を着ます。ですから、上着というときには、羽織やコートなどを意味します。

肌着と裾除には、簡単に着られるワンピース式のものもありますが、ここでは肌着と裾除に分かれたツーピースを採用しています。その理由は、着慣れてくると着物姿のシルエットが気になり始め、裾つぼまりの裾除を付けた方が、よりスマートに見える利点があるからです。

着付用の小物には、きもの学院特有の特殊な器具もありますが、ここでは伝統的で、なおかつ、一般に市販されているものの中から実用的なものを採用し、解説しています。きれいな着付をマスターするためには、自分の体型に合った「最適寸法」の長襦袢や長着を着ることが前提条件となりますが、そのレベルに到達するまでには、ある程度の知識や経験が必要です。

	肌着はだぎ 吸湿性の良い物（サラシ・ガ－ゼ） 袖そでの短い筒袖つつそで、衿えりぐりの大きい物
	裾除すそよけ 保温と裾さばきを良くする 静電気の起こらないもの 巻き付け式
	長襦袢ながじゅばん 現在は、寒冷地を除いて裏地のない単衣ひとえに仕立てる事が一般的で、袖そでは無双むそうという見せかけの袷あわせになっています。また、長襦袢には、対丈ついたけといって抱かかえがありません。身長に合わせた長さ、つまり、着丈きたけなど、自分の体型に合う長襦袢を着る必要があります。長襦袢には、初心者用の既製品と本格的なmy sizeの長襦袢があります。
	足袋たび 生地きじにはブロ－ドとキャラコ、足袋裏はネルと晒さらし。こはぜは４枚と５枚があります。もともとネルの足袋裏は冬用、晒裏は夏用でしたが、今では一年を通して晒裏が主流となりました。また、足首の上まで足袋の生地がある長い5枚コハゼの方が正礼装用との説もありますが、定かではありません。
	半衿はんえり 白、色物、夏物、冬物など。 長襦絆の衿にかける装飾的なかけ衿。 ここでは、白の冬物を準備します。
	衿芯えりしん 衿カラーでカーブの付いた物がなじみが良い。
	腰紐こしひも 幅：３cm～５cm、長さ：胴に二巻＋結び分で約２ｍ。長尺のL寸もあります。 素材はサラシ、ガ－ゼ、正絹、ゴム系のベルトなど。
	伊達〆だてじめ 着くずれを防ぎ衿元を押さえます。 ２本必要。 博多織の伊達〆も使われます。
	前板まえいた 体の曲線を補正し、帯のシワを防ぎます。 両脇いっぱいに納まる長さ。
	帯枕おびまくら ガーゼをかぶせて使うと便利。 年齢、体型で大きさを選びます。
	帯〆おびしめ 帯の結び目を押さえて帯が解けないようにする紐ひも。 帯結びの仕上しあげに用い、同時に着物姿の「美的センス」のポイントともなります。 帯〆の組み方の種類には、平打ひらうち・丸組まるぐみ・丸ぐけなどがあります。 帯上おびあげ 帯枕の上にかぶせて帯の垂たれを背にしょい上げる布地。 綸子りんず・縮緬ちりめん・絞しぼり・絽ろ・紗しゃなど帯〆の補色ほしょくの役割もあります。